セヤナーを虐めたりいじめたりイジめたりしたい

虐待シチュ725様よりリスペクト、ふんわりとした記憶をオマージュして書き付けております、ご容赦を。


些細なきっかけで、喧嘩をした。
エビフライのしっぽを拾っただけなのに、さも自分が獲ったかのように言いふらした、ただそれだけのこと。
小さな嘘がたちまち膨らみ傲慢にかわり、自分ですら制御できなくなっていた。
その内に様々な武勇伝をでっち上げては仲間から嘘つきと揶揄され、今日の日より彼女はひとり身となった。

悔しくて仰いだ空は遠く澄み渡り、ふわりと浮かぶエビフライもよく見えた、見えてしまった。
自分の傲慢と不甲斐なさと腹いせがない交ぜになった感情は、彼女を罪もないエビフライへ食って掛からせるに充分だった。

野生の時分にひとりとなり、空腹を抱えたその体に空はあまりにも遠過ぎた。
だがその魂は空を泳ぎ、見事エビフライに食らい付くイメージを見た。
木々や電線に遮られることなく、ただエビフライを欲して飛んだ。
澄み渡る視界に邪魔が入らなかったのは、ここが河川に近かったからだと知らず。
土手から身を躍らせた彼女は、まだ世界を泳いでいる。
まばゆいばかりの日の光、蒼天を自適にたゆたうエビフライ。
眩むような明転、そして視界は灰色一色に焼きつく。

……現実は、かくも残酷である。
河川敷きに頭からダイブした彼女は砂利にまみれ、擦りむいた痛みをこらえるのに必死だった。
この数瞬、眼前のエビフライよりも訳のわからぬ痛みが彼女の思考を支配した。
そして、水面に映る姿を見て絶叫する。

「オマエー! ダレヤー!?」と。

間違って側頭部を削ぎ落とした塑像のような自分を、彼女は認識できていない。
ただ思考の片隅に沸き立つ、仲間だったもの達の失笑、侮蔑、そして決別。
憎悪の眼差しをもって相対する彼女は、虚勢を張って虚空へ威嚇する。

「ウチナー…… ウチナー、ウチナー ウチナー!!」

体組織の漏洩酷く平衡感覚などとうに失せ、霞む世界に映るのは仇敵の顔をした何者かが見せる必死の形相と近く遠くに残響する咆哮。

「ウーチーナー!!」

そこに一瞬エビフライの影が水面に移り、今度こそ横取りされまいと猛る自分の水鏡との戦いは止むことなく続く。
騙りではなく真実であると言い聞かせ死力をふりしぼりながら。

「ウチノー エビフライー ヨコセー」

「エビフライー ウチノヤー」

「ウチナー ウチナー」

「オマエー……セヤナー……チガウー……」

「ヨコセー……」

「ヤー……」

「……」

何刻かのちに、夕暮れの近づく河端に残されたのは、千切れた髪飾りとエビフライが幾らか河面を撫で、ついと何処かへ飛んでいくのみである。

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