セヤナーを虐めたりいじめたりイジめたりしたい

野良や野生のセヤナーが、住宅や公共施設などの建物に侵入する被害は無視できない問題だ。
それに対処すべく、企業は建物の種類別に合わせた殺セ剤、通称セヤコロリの研究開発を繰り返している。
今回は、その中のいくつかをご紹介しよう。


「セーヤ セーアアアアアアア!」
ある家の壁に触れたセヤナーが、突然の激痛に叫びながら後方へ転がっていく。
この家に塗布されたコーティング型のセヤコロリ、セヤコロリコーティングの効果だ。
開いていた窓や扉からの侵入はもちろん、セヤナーの粘液によって壁や窓ガラスなどが汚れることも防ぐ。
他にも、通風口などのセヤナーが隠れて侵入できる箇所にも、このセヤコロリは使用可能。
周囲の植物や土壌、人間などの他生物に一切悪影響を及ぼさない、環境に優しい配慮もされている。
「ヒギャアアアアア! アシガアアア…… アシガアアアアアアア!」
一方、セヤナーには全く情けをかけない。
触れればコーティングの成分が浸透し、耐えようのない激痛、粘液や体液の蒸発、表皮や各種器官に異常をきたすといった効果がある。
また、この薬剤は無色無臭であるため、塗布されている場所とそうでない場所をセヤナーたちが区別することはできない。
「アアアアアアア! イタイイイイイイイ! ナンデエエエエエエエ!」
別の場所では、ドアのサッシに触れたセヤナーが悶絶し、道路まで転がっていった。
どちらも耐えがたい痛みによって動けないようだ。
「アシガアアア…… イタイイイイイ…… ナンデエエエエエ……」
「イタイ! イタイ! ヤアアアアアアア!」
粘液を失い、剥けた皮膚からあふれる体液が気化していく。
薬剤の効果は、その奥の神経や内臓にも浸透する。
直に触れた腹足だけでなく、各消化器官や粘液生成器官、特殊能力発動用器官、肺、心臓、脳などにダメージが及ぶのだ。
「アッアッアッ…… イッ……イタイイイイイ……」
「ヤアアアア…… ヤー…… ヤー……」
まさに侵入を防ぐだけでなく、建物の外でセヤナーを駆除するための薬剤。
その効果は、十分に発揮されたようだ。
そして、
「ヤアアアア…… タスエッ……!」
先ほどドアから撥かれた個体が、水溜まりの跳ねるような音と共に、通行中の自転車に轢き潰された。
瞬く間に、息絶える。
乾燥し切った残滓が、微風に吹き飛ばされていく。
「アッアッ……アッ……アッ……」
壁に跳ね除けられたもう一匹も、息を引き取ろうとしている。
干からびた表皮は所々破れており、その裂け目から萎んだ内臓が良く見える。
肺は膨萎をやめ、心臓も鼓動しない。
「アッ……アアア……ア……ア……」
動かなくなった残骸は、そのうち風化するだろう。
その場にセヤナーがいた形跡は、一つ残らず消滅するのだ。

このコーティング型には、更に手軽な物もある。
その名も、セヤコロリコーティング/スプレータイプ。
こちらは、通常の塗布剤型に向かない、網戸などの場所にも使える物だ。
効果のほどは、以下のケースをご覧いただきたい。
網戸に近付いてきたセヤナーが、戸を開けて家の中に侵入するべく触手を伸ばしてきた。
しかし、
「ヤッ……! アアアアアアア! イイイイタアアアイイイイイ!」
その触手が、反射的に引っ込められた。
見れば、網戸に触れた部分から皮膚が剥がれていき、先ほどと同様に体液が蒸発しているのが分かる。
「アッアッ……! ウチノ テガアアアアア!」
神経もろとも焼き切れるような感覚に、セヤナーは思わず悲鳴を上げる。
コーティングの効果は、触手の先から根元まで駆け上がり、各神経系を伝って脳にまでダメージを与える。
「ニギヤアアアアアアア! オアアアアアア!」
薬剤によって気化した体液の臭いが、周囲に漂う。
触手は粘液と体液を失い、乾き切った繊維に成り果てた。
その生え際は大きく割れ、中身の脳が姿を見せる。
「ア゙ッ…… アエ゙アオ゙ッア…… アッア゙ッアッア゙ッアッア゙ッアッ……」
とうとう脳機能までやられたのか、普段は聞けないような鳴き声を上げ始める。
セヤナーとして、この個体は崩壊してしまった。
後は、生物としての終わりを待つばかり。
「アアアヤアアア オアッオ゙ア゙ッ ヤーヤッヤッヤー……」
その瞬間が来るまで、そう長くはかからなかった。
庭の手入れをしていた家の住人がやって来たのだ。
土の上にセヤナーを放り投げ、顔から腹足の先まで、念入りに踏み潰す。
この半ば乾燥した残骸が、元の形を取り戻すことはもうない。

この薬剤は、ゴミ捨て場においても活用できる。
その一例をお見せしよう。
「アアアアアアア! ウチノオオオ テガアアアアアアア!」
ゴミ袋の保護ネットを掴もうとした成セヤナーの触手が気化し、崩れていく。
「ギヒヤアアアアアアア! カオモオオオ カラダモオオオ イタイイイイイイイ!」
ネットの隙間へ体の上半分をねじ込んだ子セヤナーは、その部分の皮膚が剥がれ落ちたことで悶絶している。
この二匹は、餌となる生ゴミを漁りに来た親子の個体だ。
ここにあるネットにも、やはりコーティングが施されている。
この結果は当然と言えるだろう。
「ヤアアアア! アタマアアアアア ワレルウウウウウウウ!」
親セヤナーが苦痛と恐怖に呑まれる中、子セヤナーはそれ以上の危機に晒されていた。
「ギヒィッ! ギヒャアアア! ギヒイヤアアアアアアア!」
ネットを境に、体が今にも二つに裂けようとしている。
「オ゙ガア゙……ギヒッ! ダズギヤアアア! アアッアアアアアアア!」
親セヤナーに助けを求めようとしても、薬剤の効果がそれを阻む。
そして、親セヤナーの頭部には、大きな穴が開いていた。
「ヤ゙ッ! ……ッア! アッアアア ッアアアアッ アッアアアッアアア……」
ダメージはすぐに脳まで達した。
親セヤナーの壊れた姿を見て、子セヤナーは呆然とする。
「ア゙ッ……! オ゙ガ……ッ! ナ゙ン゙エ゙……」
言い終わる前に、その体は真っ二つに千切れていった。
ネットの内側で、表皮が剥がれ切った上半分が、顔面から落下して砕け散る。
外側には、薬剤が染み込み始めた下半分が残された。
「アッアッアアアッオッオッオッ…… ヤーヤーヤーヤーヤーヤーヤー……」
体液にまみれ、完全に脳を破壊された親セヤナーも、そう長くはない。
二つの無惨な残骸は、後ほど業者によって片付けられるだろう。

他にも、土に散布して植物を保護するセヤコロリコーティング/パウダータイプもある。
本来のコーティングの意味とは異なるが、製法はほぼ同様のものであるため、この名称が付けられている。
その効果は、以下の通り。
これは、ある畑での光景だ。
「ヤ……ヤー…… クルシイー…… ウゴケン……」
「アッ……アッ……ヤー……ヤー……」
先に紹介したタイプと同じく、侵入したセヤナーを駆除するのに十分な威力を発揮する。
すでに数十匹が地面で干からび、中にはミイラ化した個体や、粉状に粉砕した個体もいる。
「ヤー…… ヤサイー…… ヤサイー……」
息も絶え絶えながら、作物に近付こうとする一匹がいた。
それさえ食べれば元気になると考えているのだろう。
だが、それは叶わない。
「ヤッ……! アアアアアアア! ナンデエエエ!? ヤサイガアアア イタイイイイイイイ!」
それもそのはず。
畑の全ての作物には、セヤコロリコーティング/スプレータイプが施されている。
セヤナー以外には一切無害なのは、植物に直接付けるケースも想定しているからだ。
「ヤアアアアアアア! セヤナアアア! キエルウウウウウウウ!」
ゆえに、植物を害することなく、セヤナーだけを駆除できる。
更に、パウダータイプを摂取して育った植物は、薬剤の効果を内包した状態で成長する。
無論、人体にも無害であるため、出荷は問題なく可能。
ただし、セヤナーには致死毒だ。
ちょうど、それを証明するセヤナーがいる。
「ヤー…… ヤサイー…… アッター……」
わずかに表情を明るくさせ、弱り切った体に鞭打ってでも落ちていた作物に這っていく。
それは人間はおろか、他の野生生物が食さないほど傷み切った質の悪い物だが。
そして、この畑の仕組みを思い出せば、結果は目に見えている。
「ボオアッ……!」
まさしく、死に体へのとどめの追い打ち。
口に含んだ物だけでなく、内臓の半分以上を吐き出し、絶命。
外気に触れた心臓や消化器官などが、熱を失っていく。
このように、セヤコロリコーティングを使えば、畑などに侵入して作物を盗ろうとするセヤナーを、逆に養分として利用できるのだ。


今回ご紹介するセヤコロリは、以上となる。
今後の研究開発が進めば、更なる対侵入用薬剤が完成するだろう。


暮れの帰路を、一人の社員が緩やかに歩いている。
この人物は、先ほどのセヤコロリコーティングの研究開発に人一倍尽力していた。
解説のプロモーションにおけるロケ地との交渉をしたのも、この人物だ。
特に、畑との交渉では少々体を張った。
安全性を保障するために、説明用の試供品の一本を丸ごと、笑いながら平然と飲み干したのである。
さすがに、協力先の地主までもが試供品を手に広げてなめ出した時は度肝を抜かれたようだが。
こうした甲斐もあってか、他企業との契約は順調に進んでいる。
本当はまだ製品の見直しや改良をしたかったが、製品が完成するまで泊まり込みで仕事をしていたため、上司から今日こそは帰宅するようにと追い払われてしまった。
同僚も『会社貢献が過ぎるよー』と腹を抱えて笑う始末だ。
当の本人は、『自分の仕事をしただけだ』と不満気だが。
何にせよ、決定事項ゆえに仕方ない。
今日は真っ直ぐ帰るとしよう。
そう思っていた時。

「ビギイヤアアアアアアア! イタアアアアアアア!」

ちょうど、飲食店の前を通りかかったところだ。
入口の手前で、セヤナーが甲高い悲鳴を上げている。
その体は粘液を失って萎み始めている。
そういえば、ここは契約が取れた企業グループの店舗だったか。
壁面を見れば、いくつかの干からびたセヤナーの残骸が、微風と共に宙へ消えていく。
仕事の成果が、こうした場で見れるとは。
その喜びを噛み締めながら、また歩き始める。
今後、飼い個体が多い地域向けに「セヤナーの鼻が曲がる忌避剤(仮称)」の研究開発といったプロジェクトが動き出す。
また、忙しくなりそうだ。
セヤナーの断末魔の叫びが、その背中を優しく押す。

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